温故知新、牛肉の食べ方の研究。

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海原雄山という架空の人物がいる。

書や器、芸術の粋を極め、美食にも妥協のない人物像は北大路魯山人が見えますね。
そんなキャラクターが、言い放つわけです。
牛の魂にも配慮する美食の鬼、です。
料理を作る人、席を設けた人への配慮は微塵もありません。美食の鬼。
もはや、他所で飯を食うなよ。って感じです。
第5集6話のエピソードですが単行本の初版発行が昭和60年ですから、もう30年ほど前なんですよね。
当時から、世の中もいろいろ変わりましたが、牛肉の食べ方について、どれほど変わったのでしょうか…。
相変わらず、すき焼きかしゃぶしゃぶ以外で牛肉を楽しむ鍋料理は普及していないですよね。もつ鍋、というのは少しは進化した気がしますが、正肉ではないですから、今回は省きます。
さて、モデルとなった(であろう)北大路魯山人のすき焼き、というものを文献や直接頂いた事のある方のコメントなどから、再現してみました。
土鍋で作る「おせんさんのすき焼き」も試してみました。
川喜田半泥子の牛鍋も文献から再現してみたりもしました。
福沢諭吉も食べた牛鍋のレシピ、仮名垣魯文の安愚楽鍋なども読んで当時の空気も感じながら試し続けました。
現在の和牛と当時とでは肥育方法も違いますし、味わいも違っていたでしょう。
保存技術や道具の違いもあり、全く再現できた、という事ではないですが、食肉が認められ世の中に開花し始めた頃の食べ方や味わいを踏まえて、21世紀も1/4を過ぎた現在に、どのような牛肉のポテンシャルを発揮させる事ができるのか。
その答えの一つが今回の鍋です。
白菜、ネギ、しいたけは、年末の買い出しで物が良かったから、というので特に指定はないですが火の入りやすい切り方には注意しました。
出汁は昆布と鰹、煮切った日本酒と醤油のシンプルなものです。
白菜は予め鍋で煮て染ませておきます。ネギやしいたけも入れて煮ておきます。
食べるときはごく弱火で沸騰はさせないのが重要です。ずっしりと鍋に野菜が詰まっている感じにしておきます。
牛肉は手切りの厚みのあるものを。バラでもモモでもいけます。口に入った時に「頬張る感じ」をイメージした大きさにカットしておくのがいいです。
フライパンで肉の表面を手早く焼きます。少し塩を振ります。
焼いた牛肉を鍋に乗せて、だし、野菜と共に取り分けていただきます。
肉は都度都度で焼き、鍋の温度で加温する事で各々の好みの火入れが出来ます。
ステーキを和風の出汁と野菜で食する、そんなイメージですね。
沸騰させない事で出汁の煮切りも防げますし、肉からのアクも最小限に抑えつつ、エキスは加えられます。肉の厚みを確保することで鍋の上に乗せてスチーム効果で加温して火入れを調節できるのも利点だと思います。
何度か試してみて、霜降りの多い部位よりも、赤身でかみごたえのあるモモなどの方が相性がいいと感じました。
すき焼きでもない、しゃぶしゃぶでもない、牛肉の美味し鍋料理、「スキーキ」と名付けましょう。
〆は出汁を足してうどんを入れ焼いた肉を乗せて卵で綴じてみました。
これもまだ通過点ですが、美味しく幸せな牛肉との付き合い方、引き出し方はこれからも探求していきます。

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